小説「さいわい住むと人のいう」菰野江名(著)を読みました。内容を細かく説明しようとすると重い感じになってしまいますが、文章に湿度がないからか装丁の少し寓話的イラストのせいなのか、ほわっとする温かな小説でした。
地域福祉課に異動になった青葉は、地域の挨拶回りで、「何かあった時に相談にのってもらえる人」と町の人たちから信頼される元教師の桐子を紹介されます。大きなお屋敷に住む桐子は、夫が亡くなるまで裕福な家庭で過ごした妹の百合子と2人だけで暮らしていました。
そこから、80代になった老姉妹がこれまで過ごしてきた、それぞれの波乱の人生、秘められた真実、そして地域福祉課の青葉にも関係するいろいろな出来事が、現在から過去へ時代を遡りながら進み、そして2024年現在に戻ります…。
戦後の混乱時代を過ごし、高度経済を体験した人生は、豊かになってから生まれた人では経験できない、ある意味今の平凡な生き方とは違う激動の人生だったんだろうなとちょっとうらやましさも感じます。父が先月亡くなったこともあり、日本の戦後すべてを体験した人生はどんなんだったんだろう、もっと聞いておけばよかったとちょっと後悔しています。メメント・モリじゃないですが、時は止まることなく進んでいき、人は年を取りそして必ず死んでゆくことを改めて感じました。


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